読んだ本、読んだ漫画、観た映画などの、ごく個人的な感想を綴るブログです。


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こころ (新潮文庫)こころ (新潮文庫)
(2004/03)
夏目 漱石

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感想:★★★★★

「明治の人間にしか表現し得ない」と思えるような美しい日本語の文章で、
「現代人が自己投影するに足る・もしくは十全すぎるほど綿密に」人間像を描いている。
この二つが両立してるのが夏目漱石の素敵なところ。日本語は少しずつ崩れて言っても、人間の本質は百年経っても変わらないんですね。

「恋は罪悪ですか」と私がその時突然聞いた。
「罪悪です。確かに」と答えた時の先生の語気はまえと同じように強かった。


「とにかく恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」


現に何回読んでも先生へのなんとも言えぬ気持ちで胸がいっぱいになります。このなんとも言えぬ気持ちを上手く日本語で表現出来たらいいのに、私には勉強不足で出来ない。でもきっと漱石なら出来るのでしょう。
このなんとも言えない気持ちについては今後も上手く表現出来る言葉を探して行きたい。

とにかく初めて読んだ時の衝撃が忘れられないばかりか、読む度に輝きを増す様な心持ちすらします。恐らくそれは人生の経験を積めば積むほど、登場人物に対して自己を投影したり、理解・共感できる部分が増えていくからではないでしょうか。
…ああなんて陳腐な感想なんだ。

私が過去に読んだ本なんて世界中の本のごく一部だけれど、私のなかでこれを超える日本文学作品には未だ出会ったことがありません…
なんだか何度も何度も読んでしまいます。

「しかし悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生はみんな善人なんです、少なくともみんなふつうの人間なんです。それが、いざというまぎわに、急に悪人に変るんだから恐ろしいのです。だから油断ができないんです」


他人のことではなくて自分のことをこのように弁明しているのだから(まぁ、その時主人公は事実を知らなかったから、厳密に言えば弁明とは違うけれど)、そこが、あああ、先生、ってなっちゃいますね。

私はその人に対して、ほとんど信仰に近い愛をもっていたのです。私が宗教だけに用いるこの言葉を、若い女に応用するのを見て、あなたは変に思うかも知れませんが、私は今でも固く信じているのです。本当の愛は宗教心とそう違ったものでないという事を固く信じているのです。私はお嬢さんの顔を見るたびに、自分が美しくなるような心持ちがしました。お嬢さんのことを考えると、気高い気分がすぐ自分に乗り移ってくるように思いました。
もし愛という不可思議なものに両端があって、その高い端には神聖な感じが働いて、低い端には性欲が動いているとすれば、私の愛はたしかにその高い極点をつらまえたものです。


この文章にうっとりします。

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