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トパーズ (角川文庫)トパーズ (角川文庫)
(1991/11)
村上 龍

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感想:★★★☆☆

村上龍って、私は苦手とか言いつつ、なんだかんだ好きなんだろうな、面白いと思いながら読んじゃうもんな、やっぱり意味のある存在というか、こんな人が文壇に居てもいいよね、嫌いだって言って読まずに居るのは惜しいよね、って存在だ。

風俗嬢は実際に、本質的には劣等感が強くて、情深い子が多い。(少なくとも私の周りは。)
この本にはそんな子がたくさん登場する。
あまりに女の子ばかり登場するので、それだけで村上龍スゲェなって思ってしまう。
「さぁ今からSMと女の子をテーマにこの本数分短編を書きなさい」って言われて、ここまで現実的に書ける作家が他に居るのだろうか。
逆に私が、男性視点の物語をこれだけの数書けって言われたら、素人とはいえ、完全に、無理です。
男の人が何考えてるかなんてわかりません。

この小説、完璧に風俗嬢の心理を書いてるのかって言ったらそうではない、
やっぱり一部、男性特有の女性への妄想を孕んではいるのだが、
すごく近いものを書いているとは思う。これは、すごいことだ。
男性である村上龍が、これほどまでに女の心理に近しいものを書くというのは、考えてみれば、物凄いことだと思う。
他の人に今、これだけのこと出来る人いるのかな、と思う。
これを文学作品として見たらどうこうって話じゃなくて、ただ単純にそれって作家としてものすごいって感想。
書かれたのが私が生まれた翌年と言うのにも驚きだ。
今読んでも充分通用するのだ、やっぱり村上龍って作家なんだななんて、改めて感嘆してしまった。

個人的には、「サムデイ」が一番好き。「サムデイ」はめちゃくちゃ好き。
以下「サムデイ」より抜粋。

台所から自分の部屋に戻り髪をとかしてストッキングをはいてルージュを塗ってまたそれを拭いクローゼットに吊した服と鏡の中の自分を交互に眺めてどういうふうに手を加えてもあたしはガキなんだと思い、死にそうな顔でホットサンドを食べてたパパと皺の多かったママの顔も同時に頭に浮かんできて幸福は全部その中間にあるのだろうという気がしてきた。二段ベッドで寝ているケイイチはまだ茹でる前のアスパラガスの先っちょみたいなおちんちんだしあたしはルージュを塗ったっておひなさまや七五三の雰囲気しかなくて、パパとママはカルカッタのスラムの年寄りだ。あたしが憧れていることはこの家の外に、あたしとママの中間にある。(p.143)


「小さい頃親から冷たくされたらなかなか忘れられないんだ」
「あなたが、そうなの?」
「いや、そういうことじゃなくてね、ぼくの周りにはそういう奴が多い、他人に優しくできないんじゃなくて、他人に優しくしなくても生きていける人がぼくの周りには多いんだ、人間って他の人に優しくできないと自分がいやになったり不安になったりするだろう?他人からも優しくして欲しいし、仲良しでいたいじゃないか、でもそういうことがなくても平気な人もいるんだ、ぼくはそういう人達と性格が合うんだよ」(p.155)


上に上げた部分も好きなんだけど、腹立つ友達というのが登場して、これがリアル。
「サムデイ」を読んで、少女時代の息苦しさとか、自らの歪みをそこに見出し、切ない苦しい気持ちになった。

男の書く作品に、こんな気持ちにさせられるとは…。

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