読んだ本、読んだ漫画、観た映画などの、ごく個人的な感想を綴るブログです。


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. Edit
  2. Permalink
ぼくは勉強ができない (新潮文庫)ぼくは勉強ができない (新潮文庫)
(1996/02)
山田 詠美

商品詳細を見る

感想:★★★★★

私は、69ページが大好き。すごく素敵なページ。
主人公が、可愛い。自分でも可愛いとか言っちゃってるけど、マジで可愛い。
正直萌えた。キュンとした。
でもね。山田詠美が主人公を客観的に見て可愛いって思ってる、から、主人公は自分に対して可愛いって言葉が出てくる。
この小説、めちゃくちゃ面白いと思ったけど、山田詠美って人の影がくっきりと小説に浮かび上がってくる。
これは、思春期を「主観的」な「ぼく」の視点からではなく、「客観的」に見て書かれたものだと、「可愛い」という表現とか、そういうささやかな部分で感じる。
くっきり見える、山田詠美と言う人の存在感。山田詠美は私はこの本が初めてだったのに、凄まじい存在感を感じた!

文庫本を手にした時、裏表紙に書いてあるあらすじを読んで、サリンジャーのライ麦畑を思い出した。
色んな人のレビューにも引き合いに出してる人がいたけど、
サリンジャーのライ麦畑は、主人公が「ぼく」としての「主観的」な視点から物事を見て考えているから、思春期を主観的に書いた物語であり、
この山田詠美の描く「ぼく」は山田詠美という「客観的」な視点から物事を見て考えているという客観的な物語りであるという違いを感じた。
(もちろん、一人称はどちらも「ぼく」で語られるから、山田詠美の方も、「主観的」な体ではあるし、逆に言えば、どちらも日記じゃなくて作者が存在する虚構なのだから、本当は客観的な物語なわけだけれど)

だからサリンジャーの書く「ぼく」は滑稽で、
山田詠美の書く「ぼく」はなんだかかっこいいんだろう。
改めて私の見解を言うと、前者は主観性が強いから滑稽に着地して、
後者は客観性が強いからかっこいいラインに着地している、と私は思っている。

本当はこんな男の子なかなかいないだろうなぁ。
ナチュラルに計算して作られた美少女舞子ちゃんの美しさを憎んでいるのは、ぼくではなく山田詠美であり、高校生の男の子は、舞子の計算を憎んだりは絶対にしない、んじゃないかなぁ。
美少女に好きだって言われて、あそこまできっぱりと言えるものだろうか。
それは、17歳の少年の言葉ではなく、あくまで山田詠美の言葉であるのではないだろうか。
もちろん作者なんだから当たり前、それが悪いとかじゃなくて、作品から伝わる、この作者の存在感も面白かった。

要するに主人公が作者の投影で、作者の願望の現れも見え隠れする。(桃子さんがそんな感じ)
THE・女の人が書いた小説って感じ。だから男の人が読んで、解せぬって思う人もいるかも?
真面目に勉強ばっかりしてきた人もケッて思う人も居るかも知れない。

それにしても、凄く面白かった。感心する描写もいくつもあった。
長々と山田詠美の存在感とサリンジャーとの比較について語っちゃったけど、正直そんなことはどうでもいい。単純に、面白い。本において、面白いってのは一番強い圧倒的な価値なわけだから、これは私は間違いなく素敵な本だと思う。

「秀美はねえ、要するに健全過ぎるのよ。だから、ふられちゃうのよ」
「いいじゃないか、健全なのって」
「そりゃ、いいわよ。安心出来るわ。でも、男と女のことに関しては、どうかしら。つまんないわよ、あんまり健やかなのってさ。体が健全なのは基本なのよね。健康な肉体って素敵だと思う。特別な好みを持つ人もいるけど、たいていの人は、健康的な肉体に性的なアピールを感じるわ。肉体って、即物的なものだもん、恋愛においてはね。解り易いっての?でも、精神状態も、健全だってのは困るのよ。もっと、不純じゃなきゃ。いやらしくないのって、つまんないよ」


私、彼女のこういうところがすごく好きだなと感じる。

「プラトニックな恋愛ってのももちろんあるでしょう。でも、それは、相手が欲しいって気持を続かせてるだけだと思う。欲求不満の快感なんだと思うわ」


名言すぎる!欲求不満の快感、なんて名言なんだ。
でも勿論それだけじゃなくて。

「先生、三角形の三つの角を足すと百八十度になるでしょ。まっすぐです。痛い角が三つ集まるとまっすぐになれるんです。六つ集まったら、三百六十度になるんだ。まん丸です。もう痛い角は失くなってしまうんです。ぼくとか赤間さんとかは、もう一個目の角を持ってるんだ。他の人よか早く、まっすぐやまん丸になれるんです。」


こういう名言も。
山田詠美さんに興味津々です。

スポンサーサイト
  1. Edit
  2. Permalink
  3. トラックバック:0
  4. コメント:0
この記事へのコメント
コメントの投稿









トラックバック
トラックバックURL
http://happyendsyndrome.blog59.fc2.com/tb.php/18-01e0ee2d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
return to top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。